クラウドコストを予測する
予測機能は、履歴データを使用して将来のクラウド支出を見積もります。クラウドリソース使用量を正確に予測することで、他の FinOps 機能へのリソースアロケーションを最適に調整し、より良いビジネス判断につなげることができます。
- FinOps Foundation: Exploring Cloud Cost Forecasting
DoiT の予測機能
DoiT は、信頼性が高く設定可能な拡張された予測機能を提供します。機械学習モデルは、さまざまなタイプの時系列データに対応する複数の予測モデルを組み合わせており、さまざまな粒度レベルでの予測が可能です。
クラウドコストを予測することには、次のような利点があります。
-
コスト最適化:将来のクラウド使用量を予測することで、コストを最適化できる領域を特定できます。たとえば、未使用のリソースの停止、インスタンスの適正サイズ化などの改善が考えられます。
-
予算策定の改善:正確な予測は、現実的なクラウド費用の予算を作成し、リソースを効果的に配分するのに役立ち、予期しないコスト超過を防ぎます。
-
より良い意思決定:予測によって、クラウド利用に関するより良い意思決定のための有益なデータが得られます。たとえば、クラウドリソースをスケールアップするのとオンプレミス インフラストラクチャへ投資するのとでは、どちらがよりコスト効率に優れているかを判断できます。
-
FinOps のベストプラクティス:クラウドコストの予測は FinOps の中核となる原則です。クラウドコストを予測することで、クラウド投資から最大限の価値を引き出せていることを確認できます。
精度
すべての時間間隔で精度を向上させるため、予測システムのデータ処理とモデリング機能を継続的に改善しています。予測精度は主に次の 2 つの要因に左右されます。
-
季節性(シーズナリティ):特に時間単位や日単位などの関連する時間間隔では、曜日や時間帯によって繰り返し発生するコストの変動を観測できます。そのようなパターンを検出した場合は、精度を向上させるため予測に組み込みます。
-
外れ値処理:一般的に、時系列はトレンド、季節性(該当する場合)、残差に分解できます。残差誤差に存在する外れ値は、系列全体を代表しない形で予測に影響を与える可能性があります。このような外れ値の影響を軽減し、データの本質的なパターンをより適切に捉えます。
Historical data time range はモデルのトレーニング期間であり、モデル精度に影響します。時間範囲を設定する際は、次の点を考慮してください。
-
現在の挙動に合う期間を選ぶ:過去の履歴が現在の挙動を反映している場合は、より長い履歴が望ましいです。ただし、あるタイミングで支出パターンが大きく変化した(移行、新しいワークロード、コスト最適化など)場合は、現在の挙動が安定して続いている短めの期間のほうが適しています。
-
支配的なパターンの少なくとも 1 サイクルを含める:週次パターン(平日と週末の違いなど)がある場合は、少なくとも 2〜3 週間を含めてください。月次の季節性がある場合は、少なくとも 2〜3 か月を含めてください。履歴期間が短くなるほど、予測はより投機的になります。
予測には信頼区間(上限と下限)が含まれ、将来に行くほど幅が広がります。トレーニングデータの粒度は日単位であり、より詳細であるため、四半期単位よりも月単位の予測に依拠することをおすすめします。
履歴データ
デフォルトでは、レポートの Time Range と Time Interval に基づき、予測設定の時間間隔が自動入力されます。
Historical data time range または Forecast horizon を選択し、Last 7 days や Next 14 days などのプリセット、または開始日と終了日を明示したカスタム Fixed Dates を使用して時間範囲を設定してください。
期間
選択した時間間隔に 対して、システムは少なくとも 2 つのデータポイントを必要としますが、その場合は大まかな予測しか得られません。より信頼性の高い結果を得るには、以下に示す最小推奨値を使用してください。
各時間間隔には、サポートされる期間数の上限があります。カスタム日付範囲を使用する場合は、選択したすべての期間を合わせたスパンが、以下の制限内に収まるようにしてください。
| Time period | Maximum historical periods for the forecast | Maximum forecast periods | Minimum recommended historical periods |
|---|---|---|---|
| Hourly | 1000 | 1000 | 168 |
| Daily | 500 | 100 | 30 |
| Weekly | 100 | 52 | 4 |
| Monthly | 36 | 12 | 3 |
| Quarterly | 12 | 4 | 4 |
| Annual | 6 | 3 | 3 |
粒度
DoiT の予測機能は、2 つの粒度レベルをサポー トしています。
-
Forecast totals only:個別のディメンションに分解せず、全体の予測のみを提供します。
-
Forecast per grouping:レポートの Group by 設定に含まれる各ディメンションごとに予測を提供します。
レポートが多数のディメンション(たとえば十数個以上)でグループ化されている場合は、Forecast totals only オプションを推奨します。
そのような状況で Forecast per grouping を選択すると、レポートが過度に複雑になる可能性があります。これは、レポートの Time Range における最後の期間について特に問題となり得ます。最後の期間に履歴データと予測の両方が含まれる場合、各ディメンション(グルーピング)は、これまでの実績値(履歴)と予測の 2 つの部分を表示します。
Forecast per grouping を使用する場合、各グループは範囲内に十分なデータポイントを持つ必要があります。データが疎なグループでは、ノイズの多い予測と信頼区間になる可能性があります。履歴が限られている場合は、通常、Forecast totals only(または数を絞った粗いグループ)の方が信頼性が高くなります。
粒度レベルの違いによる差分については、以下の例を参照してください。
例:サービスコストの予測
この例では、次の方法を説明します。
-
カスタム日付範囲で複数サービスの支出を予測する Cloud Analytics レポートを作成する。
-
予測設定を変更して、全体の予測とサービス別の内訳の両方を確認する。
サービスコストを予測する手順は次のとおりです。
-
DoiT コンソールで新しいレポートを作成します。
-
Time Range には直近 4 か月(当月を含む)を選択し、Time Interval には Month を選択します。
実際には、ビジネス上の目的に応じてこれらの設定を変更できますが、予測期間の制限を考慮する必要があります。
-
Group by オプションで Service を選択し、関心のあるサービスのみが含まれるようにフィルターします。
-
Forecast の横にあるプラスアイコンを選択して新しい予測を追加します。Forecast settings ダイアログが開き、レポートの Time Range と Time Interval に基づいて推奨の時間間隔が自動入力されます。

-
Historical data time range > Fixed Dates を選択し、1 か月と 1 週間に設定します(この例では Dec 01, 2025 から Mar 08, 2026)。Forecast horizon を 選択し、4 か月に設定します。
これらの期間はビジネス上の目的に応じて設定できますが、予測期間の制限を考慮してください。

-
Apply を選択して設定を保存し、レポートを実行します。
次のスクリーンショットは、Forecast totals only の粒度を使用した結果を示しています。列の上にマウスカーソルを移動すると、関連する数値が表示されます。

-
サービスごとに予測を分解するには、Forecast settings を選択し、粒度を Forecast per grouping に変更して適用し、再度レポートを実行します。

レポートの Time Range における最後の期間である 2026-03 の列では、各サービスが実績値と予測の 2 つのセグメントを持っていることに注意してください。
